【小麦アレルギーかも?Vol.4/4】小麦アレルギーと間違えやすい症状・疾患

【小麦アレルギーかも?Vol.4/4】小麦アレルギーと間違えやすい症状・疾患

小麦を食べた後にお腹の不調や体調変化が出ると、「小麦アレルギーかも?」と思う人は少なくありません。しかし、実際には他の疾患や不耐症が原因のことも多く、症状だけでは区別がつきにくい場合があります。ここでは、小麦アレルギーと混同されやすい代表的な3つの疾患について解説します。


小麦アレルギーとの違いまとめ

疾患・状態

原因

関与する免疫反応

主な症状

診断方法

小麦アレルギー

小麦たんぱく質全般

IgE抗体によるアレルギー反応

じんましん、呼吸困難、腹痛、下痢、アナフィラキシー

血液検査(IgE)、皮膚プリックテスト、食物負荷試験

グルテン不耐症

グルテン

なし

腹部膨満感、便通異常、倦怠感、頭痛

除去食と経過観察

セリアック病

グルテン

自己免疫反応(小腸粘膜損傷)

栄養吸収障害、下痢、体重減少、皮膚症状

血液検査(抗体)、小腸生検

IBS

ストレス、自律神経乱れ

なし

腹痛、便秘、下痢、膨満感

症状の経過観察、除外診断


1. グルテン不耐症(Gluten Intolerance)


原因:小麦・大麦・ライ麦に含まれるたんぱく質「グルテン」をうまく分解・吸収できないことによる消化器症状


メカニズム:免疫系が直接関与するわけではなく、消化酵素不足や腸内環境の問題が関係


主な症状:腹部膨満感、下痢、便秘、倦怠感、頭痛、集中力低下


特徴:摂取後、数時間〜数日かけて症状が現れることが多く、血液検査や皮膚検査では異常が出ない場合が多い


2. セリアック病(Celiac Disease)


原因:自己免疫疾患の一種で、グルテン摂取によって小腸粘膜が慢性的に損傷する


メカニズム:免疫系がグルテンを異物と認識し、小腸の絨毛を攻撃 → 栄養吸収障害を引き起こす


主な症状:慢性的な下痢、体重減少、鉄欠乏性貧血、皮膚症状(疱疹状皮膚炎)


特徴:遺伝的要因が強く、欧米では発症率が高い。日本では比較的まれだが見逃されやすい


3. IBS(過敏性腸症候群 / Irritable Bowel Syndrome)


原因:明確な構造的異常はないが、ストレスや自律神経の乱れが関係し、腸の働きが不安定になる


メカニズム:脳と腸の相互作用(脳腸相関)の乱れによって便通異常や腹痛が起こる


主な症状:腹痛、下痢、便秘、またはそれらの交互発生、腹部膨満感


特徴:小麦食品で症状が悪化する人もいるが、アレルギー反応ではない。FODMAP(発酵性糖質)制限で改善するケースあり




まとめ

小麦アレルギーは、症状の出方や程度が人によって大きく異なります。軽度であれば見過ごしてしまうこともありますが、適切な診断と生活の工夫によって、日常生活の質を十分に保つことができます。

大切なのは、

  • 自己判断だけで結論を出さないこと

  • 症状と食生活の関係を記録すること

  • 信頼できる医療機関で検査と相談を行うこと

そして、制限のある食事だからこそ、新しい食材やレシピとの出会いもあります。小麦を使わない料理やお菓子、グルテンフリーの食品は年々増えており、選択肢は広がっています。

小麦アレルギーは「食べられない」ではなく、「食べ方を工夫する」ことから始まります。
知識と準備があれば、制限は制約ではなく、新しい食生活の入り口になります。

今後も、安心して食を楽しむための情報やレシピを取り入れながら、自分に合ったスタイルを見つけていきましょう。

 

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